STEP3. ポイント練習を設計する

「解体新書」#28
では、サブ3を目標にしているCさんを例に、実際に練習メニューを作っていきましょう。
[Cさん]
現状:フルマラソン3時間15分 目標:フルマラソン3時間切り(サブ3) = 2時間58分
1 週に何回、ポイント練習を実施するのか決める。
まずは、週に何回、ポイント練習を実施するかを決めます。 STEP2の「1週間のルーティン」を思い出しましょう。
[Cさんの1週間のルーティン]
月曜日 … 休養日 (完全休養)
火曜日 … つなぎ練習 (ポイント練習以外の練習) 水曜日 … ポイント練習
木曜日 … つなぎ練習 (ポイント練習以外の練習) 金曜日 … 休養日 (アクティブレスト)
土曜日 … つなぎ練習 (ポイント練習以外の練習) 日曜日 … ポイント練習
三部さんの場合、「ポイント練習は週2回」です。
【BRC】マラソン完全攻略「解体新書」 2/4ページ 「1週間のルーティン」は、人により大きく変わってくるので、自分のライフスタイルに合ったも
のを考えてください。 では、次はこの「週2回のポイント練習」で実際にどういう練習をするのか、具体的な練習メニュ
ーを考えてみましょう。
2 「自分が伸ばすべきスキル」を考えて、ポイント練習の内容を考える。 さて、ポイント練習において実際にどういうトレーニングを行なうか決める時はSTEP1の「自分 が伸ばすべきスキル」を基に考えます。
簡単に振り返ると、マラソン練習で意識すべき主な身体スキルは以下の3つ。
この3つから、今の自分はどの身体スキルを伸ばすべきなのかを考え、それぞれに応じたトレーニ ングをポイント練習として実施します。それぞれの身体スキルを高める代表的なトレーニングは以 下の通り。
1 2 3
これらの練習を目的に応じて、ポイント練習を行なう日に当て込んでいきます。 Cさんのルーティンに当て込むとこんな感じ。
水曜日は「最大スピードを強化すること」が目的のポイント練習。 日曜日は「スタミナを強化すること」が目的のポイント練習として設計したようですね。
「週2回のポイント練習」として設計する場合は、2回とも同じような練習をするよりも、それぞ れ異なる身体スキルを伸ばす練習を設計する方がオススメです。
◼ マラソン練習で伸ばすべき主な「身体スキル」◼
1. 最大スピード (VO2max = 最大酸素摂取量)
2. スピード持久力 (LT値 = 乳酸性作業閾値)
3. スタミナ
最大スピード (VO2max = 最大酸素摂取量)
… 1000m (Iペース) × 5本、400m (Iペース) × 15本
スピード持久力 (LT値 = 乳酸性作業閾値)
… 2000m (Tペース) × 3本、6~8km Tペース走 (30分間走)
スタミナ
… 2~3時間LSD、30kmペース走
[Cさんのポイント練習]
水曜日 … ポイント練習 (最大スピード強化)
[練習メニュー]1000m × 5本 (Rレスト = 200mジョグ)
日曜日 … ポイント練習 (スタミナ強化)
[練習メニュー]2時間LSD (ロング・スロー・ディスタンス)
【BRC】マラソン完全攻略「解体新書」 3/4ページ
△ 水曜日 … スピード強化練習 + 日曜日 … スピード強化練習 ◯ 水曜日 … スピード強化練習 + 日曜日 … スタミナ強化練習
2回とも同じような練習するのも悪くはないのですが、同じような練習ばかりして同じような筋肉 や身体の部位ばかりに負荷を与え過ぎると怪我のリスクが高まります。そのため、一般的にはそ れぞれ異なる身体スキルを伸ばす練習を設計する、つまり異なるタイプの練習メニューを組み合 わせるのが良いでしょう。
ただし「この時期はとにかくスピードを鍛えたい!」といった明確な目的があってスピード練習を 繰り返すのは、それはそれでOKです。このように時期によって鍛えたい身体スキルが変わってく る場合もあるでしょう。
ということで、次のステップでは「中・長期トレーニング計画」も踏まえてポイント練習を設定し ていきましょう。
3 「中・長期トレーニング計画」と照らし合わせて、適切なポイント練習を適切なタイミングに 当て込む。 では最後に、「中・長期トレーニング計画」と照らし合わせて、トレーニング計画全体のバラン スを整えていきます。
「中・長期トレーニング計画」を組み立てる際に「期分け(ピリオダイゼーション)」という考え方 があります。これは「どの時期にどういった練習をすべきか(どの身体スキルを伸ばすべきか)」を 考えることです。期間を区切ることで、特定の身体スキルを伸ばすことに集中して取り組むことが できます。
Cさんの期分けの例を見てみましょう。 トレーニング期間は計16週間。
[Cさんの期分け] スタミナ強化期:1~6週目 (6週間)
↓
最大スピード強化期:7~12週目 (6週間)
↓
スピード持久力強化期:13~16週目 (4週間)
このように「期分け」を行なうと、期間によって練習内容が変わってきますよね。
スタミナ強化期は、スタミナ強化練習を多めに実施する。 最大スピード強化期は、スピード練習を多めに実施する。
という感じで、ポイント練習を設計する際の指針になります。
【BRC】マラソン完全攻略「解体新書」 4/4ページ 期分けによって特定の身体スキル強化に集中する時期を作りはするんですが、最終的にはこれら
の3つの身体スキルをバランス良く高める必要があります。
また、定期的に自分の現状確認をしておくことも重要です。マラソン練習では「マイルストーン」 を置いて「この時期にはこのレベルに達しておきたい」という小目標を掲げておくと良いでしょ う。
現状確認の為の練習として代表的なのは、
● 5000m T.T. (タイムトライアル) ● 12~14km Mペース走 などがあります。
これらの練習もポイント練習の1つとして定期的に(月に1~2回)実施するのがオススメです。 設計した一つ一つのポイント練習が自分の「中・長期トレーニング計画」と紐づいているか確か めましょう!
【まとめ】“根拠のある練習メニュー”の作成 #STEP3
ポイント練習を設計する。
1. ポイント練習とは、強化練習のこと。
→ ポイント練習をうまくこなせるかどうかが、あなたのレベルアップの鍵
2. ポイント練習を設計する3つの手順
1 週に何回、ポイント練習を実施するのか決める。
2 「自分が伸ばすべきスキル」を考えて、ポイント練習の内容を考える。
3 「中・長期トレーニング計画」と照らし合わせて、適切なポイント練習を適切なタイミングに当て込む。