マラソン“根拠のある練習メニュー”の作り方【4つの手順】

「解体新書」#25
「練習メニューの作り方」は多くの独学ランナーが直面するお悩みだと思います。
特に、“陸上経験がない方”“ランニング歴が浅い方”であれば、なおさら練習メニューの作り方に悩 むことは多いでしょう。あるいは、どういう練習をすればいいか分からないから毎日何となく 10km走るだけといった方もいるかもしれません。
しかし、練習の意味を考えずにマラソン練習していては、効果が半減してしまうので非常にもった いないです。
『ダニエルズのランニング・フォーミュラ』の著者であるジャック・ダニエルズ氏は以下のように 述べています。
つまり、一つ一つの練習(トレーニング)には“その練習を行う根拠”がなければいけないのです。
というわけで、本記事では日々の「練習メニューの作り方」について解説していきたいと思いま す。みなさんも毎日“根拠のある練習メニュー”を作れるようになりましょう!
常に必要なのは、「この練習の目的は何か」という問いに答えられることだ。 |
‒ 『ダニエルズのランニング・フォーミュラ』 / ジャック・ダニエルズ 著 より |
【BRC】マラソン完全攻略「解体新書」 2/5ページ
■本講義のテーマ■
1 日々の「練習メニューの作り方」の立て方が分かる。
2 あなたの走力向上や目標達成に直結する“根拠のある練習メニュー”を立てることができるよう
になる。
3 日々の練習に“目的意識”を持って取り組めるようになる。
「練習の目的」を明確にする
月並みの言葉ではありますが、マラソン練習においては「練習の目的」を明確にしなければいけ ません。しかし、いきなり「練習の目的を意識しろ」と言われても抽象的でイメージしにくいです よね。一つ例をあげてみましょうか。
例えば、「60分 ジョグ」という練習メニューがあったとします。 しかし、AとBのパターンで以下のような違いがあるとします。
(パターンA) 前日にも翌日にも高強度のトレーニングを行なわない。 → “基礎スタミナ養成”が目的の「60分 ジョグ」
(パターンB) 前2日連続で高強度のトレーニングを行なった。 → “疲労抜き”が目的の「60分 ジョグ」
さて、パターンAとパターンBで同じくらい追い込んでも問題ないでしょうか?
マラソン初心者 : パターンAは目的が“スタミナ養成”だからそこそこ追い込んでも良いと思うけ ど・・・ パターンBは目的が“疲労抜き”だからそんなに追い込む必要はないかな。
ウエハラ :
そうですね。 むしろパターンBの場合は、目的が“疲労抜き”なので追い込み過ぎるとかえっ て疲労が溜まってしまい逆効果です。追い込むことで“疲労抜き”という本来 の目的が達成されないのです。
【BRC】マラソン完全攻略「解体新書」 3/5ページ
マラソン初心者 :
同じ「60分 ジョグ」という練習メニューでも目的の違いによって取り組み方 が変わるんだね。
上記の例のように、同じ練習メニューをやるにしても「練習の目的」次第で練習内容や練習の取 り組み方は大きく変わります。練習の目的とは例えば、
・特定の身体スキルを伸ばしたい(スピード、スピード持久力、スタミナ・・・) ・より効率的なランニングフォームを身に付けたい
・精神的にタフになりたい
などなど。細かいところまで言えば、練習の目的は本当に多様なんですが、主には「どの身体ス キルを伸ばしたいか」ここに集約されるでしょう。そして、「どの身体スキルを伸ばしたいか」と いう目的が決まったら、その目的を達成する為の練習メニューがおのずと見えてきます。
例えば、
「スピードを高めたい」→「1000m(Iペース)×5本」や「400m(Iペース)×15本」 「スタミナを高めたい」→「30kmペース走」や「2~3時間LSD」
といった具合に、「練習の目的」から“その目的を達成する為の練習メニュー”を考えるのです。
マラソン初心者 :
なるほど~ みんなが30km走やってるからというだけで、意味もわからず30km走をしな いといけない気がしてたよ・・・
ウエハラ : 慣れないうちは、周りの意見や周りの練習を真似て勉強することはもちろん 大事です。 しかし、あくまで「練習の目的」を自分の中に落とし込んだ上で真似をする ことが大事です。
マラソン初心者 : 闇雲に周りの真似をするのではなく、ちゃんと自分で考えて練習するというこ とだね。
【BRC】マラソン完全攻略「解体新書」 4/5ページ
中・長期的なトレーニング計画から日々の練習に落とし込む
マラソン初心者 : 自分が伸ばしたい身体スキルは・・・スピード、スタミナ、ランニングフォー ム、筋力etc
うわ。なんかアレもコレもやることがたくさんだなぁ~
ウエハラ : もちろん1回の練習で全ての身体スキルを伸ばせるわけではありませんよ。欲 張らずに一つずつコツコツと練習を積み重ねましょう。 マラソンは長期的にトレーニングしていかなければいけません。
その日1日だけ頑張っても意味がない マラソンは“長期戦”です。これはマラソンレースのことを指すのではなく、「マラソンのスタート ラインに経つまでの準備期間」のことを指しています。マラソンのトレーニング計画というのは、 3~4ヶ月、あるいは半年~数年単位でかなり長期的な目線で組み立てなければいけません。その 日1日だけ練習を頑張れば良いというものではないのです。
マラソン初心者 :
う!心当たりが。 この間頑張って30km走をやったんだけど、そこで満足しちゃってそれ以来全 然練習していないんだよなぁ。
ウエハラ :
計画性がないとそうなりがちですよね。 また現状を正しく認識せず、短期的に「ただ追い込むだけ」が目的になって しまうと怪我のリスクも高まります。 怪我をしてしまうと練習が中断され、長期的に力を付けることができませ ん。
要するに、「短期的な視点だけではなく、長期的な視点も持ちましょう」ということですね。 「鳥の目、虫の目」というやつです。
今行っているトレーニングが、自分の目標達成に繋がっているかを意識する というわけで、日々の練習メニューは、あなたの「長期目標」や「トレーニング計画」と照らし 合わせて考える必要があります。あなたの「トレーニング計画」に基づいて適切な練習メニューを 作成し、それを日々の練習に組み込んでいくのです。
今行っている練習が、自分の目標達成にしっかり繋がっているかを意識しましょう!
【BRC】マラソン完全攻略「解体新書」 5/5ページ
“根拠のある練習メニュー”の作成方法【4つの手順】 毎度のことながら前置きが長くなってしまいましたが、ここからは日々の“根拠のある練習メニュ
ー”の作り方について解説していきます。 手順は4ステップです。
STEP1.
自分が伸ばすべき身体スキルを明確にする
STEP2.
1週間のルーティンを決める
STEP3.
ポイント練習を設計する
STEP4.
ポイント練習以外の練習(つなぎ練習)を設計する
それぞれのステップを説明していきます。