100%の力は出せなくてもいい
こんにちは。
上原です。
今はまさにレースシーズン真っ盛りですね。
全国各地で毎週のようにレースが開催されています。
そして、
フルマラソンやハーフマラソンなど
レースを走り終えた方からは、
「とても満足いく内容でした」
という言葉を聞くこともあれば、
「全然ダメでした」
という言葉を聞くこともあります。
でも、これって
実際にはどうなんですかね?
僕から見ると
「いやいや、十分走れてるじゃないですか」
という結果でも、本人としては、
「いやいや、全然ダメです…」
というケースも割とよくあります。
今回は、なぜこんなことが起こるのか?
また、
レースに臨む際の期待値の置き方。
そして、
実際のトレーニング内容を踏まえた上での
正しいレース内容の評価方法。
について考えてみたいと思います。
100%の力は出せない
まず、核となる部分から書きますが、
人間は基本的に
「100%の力は出せない」
ものだと思った方が良いです。
まあ、ここでいう「100%」が
厳密にどの程度を指し示しているかは、
敢えて規定しませんけれども、、、
あくまで、
マインドセット(心構え)としての話です。
というのも、
僕自身、これまで20年近く走ってきて
「自分の力を100%出せたレースがあったか?」
と問われれば、ぶっちゃけありません。
「95%」の力が出せたレースと言っても、
片手で数えられる程度です。
もちろん、
その時その時で出せる全力は
出しているつもりなのですが、
それでも、
「自分自身のポテンシャル100%」
を出せたという記憶はありません。
なぜなら、
レースの結果というのは、
気温や湿度といった
当日の気候コンディションも関わってくるし、
集団で走れたのかどうかとか、
レース状況の良し悪しも関わってくるからです。
それだけではなく、
トレーニング中においても、
全てが自分の思い描いた通りに、
完璧に進むわけではありません。
誰しも、
何ヶ月ものトレーニング期間の中で、
「予定通りに練習できなかった」とか、
様々なロスがあるはずなんです。
我々人間は常に完璧な生き物ではないですから。
それにもかかわらず、
100%を求め続ける人生はしんどい
と思うのです。
おそらく冒頭の、
レースでそこそこ良い結果を出したのに
「いやいや、全然ダメです…」
というような人は、
なぜそんなに自己評価が低いのかと言うと、
そもそも理想が高い。
つまり、常に100%を求めている
というケースが多い。
いや、その向上心や気概は
とても素晴らしいと思うし、
否定はしません。
しかし、実際問題として、
- 完璧にトレーニングを遂行して、
- 完璧な準備をして、
- 当日も完璧のレースをして、
- 完璧な結果を出す。
というのは、めちゃくちゃ難しい。
僕もこんなに完璧なことは、
出来たことがありません。
いや、もちろん僕だって
理想とか完璧だとかを
思い描いてはいるんですけどね。
でも、それと同時に、
「そうは上手くいかないよな」
とも思っているわけです。
だから、
僕はどのようなマインドセットで
レースに臨んでいるかというと、、、
80%出せれば合格点、
90%出せれば上出来。
くらいのイメージです。
ここでいう
「80%」とか「90%」も
あくまでイメージの話なので、
それが厳密にどの程度かは
規定されていないのですが、
要するに、
それくらいの「許容範囲」を
設定しているということです。
やはり物事をシュミレーションする時は、
いくつかのパターンを
想定しておいた方が良いでしょう。
学校のテストにしても、
仕事の営業成績にしても、
会社の売上目標にしても
「100点しか認めない」
というスタンスは、
あまりにも窮屈すぎるし、
現実的ではありません。
こういった「想定パターンの少なさ」は、
長い目で見たときに、
必ず自分の首を絞めてしまいます。
だからこそ、
「想定パターンを増やす」
ことが大事ですし、
それに伴った、
「適正な許容範囲」を
設定することが大事です。
で、この「許容範囲」の設定において、
BRCのスタンダードクラスのメンバーに
僕がおすすめしているのが、
「松・竹・梅」理論
です。
まあ、「松・竹・梅」という言葉を使い始めたのは、
僕ではなくて別のメンバーなのですが、、、(笑)
別にこれは「優・良・可」と
言い換えてもらっても構いません。
要するに、3段階くらいで
「想定パターン」や「評価基準」を
設定しておきましょうということです。
これを先ほどの「パーセンテージ」に
置き換えるならば、
- 松(優) … 90%
- 竹(良) … 80%
- 梅(可) … 70%
くらいのイメージです。
ちなみに、「95%」が出せたら「秀」。
上出来です。
さらに、「100%」が出せた時には、
それはもう
「人生で一度あるかないかくらいの最高のレース」
です。
でも、僕は「100%出せるレース」というのは、
ほとんどファンタジーだと思っているので、
あまり期待はしていません。
・・・と言うと、
「おいおい、そんな弱気で良いのかよ?」
と思われるかもしれませんが、
これは「弱気」とかではなくて。
僕はそもそも
「100%を出す必要がない」
と思っているんです。
これはどういうことかというと、
100%を出そうとするのではなく、
80%の基準を底上げしろ
という意味合いです。
例えば、
サブ3を目標としている人であれば、
「80%の力を出せれば、サブ3できる」
くらいの状態にしておけ、
ってことです。
まあ、これは
かなり余裕を持たせた考え方ですが、
せめて、
「90%の力を出せれば、サブ3できる」
くらいの状態にしておきたい。
だって、100%なんて
そうそう出ないんだから。
だから、
サブ3を現実的に達成できる人が
持つべきイメージは、
大体こんな感じですね。
- 松(優) … 90% = 2時間56分
- 竹(良) … 80% = 2時間59分
- 梅(可) … 70% = 3時間03分
要するに、
- 上手くいけば、2時間56分。
- 順当にいけば、2時間59分。
- 悪くても、3時間03分。
くらいのイメージができるくらい、
事前に自分の底力を高めておきましょう、
ということです。
マラソンはレース当日の「根性」とかで
「それまでのトレーニング」を
ひっくり返すような
逆転劇が起こるスポーツではありません。
(というか、そこに期待してはいけない)
これも僕がよく使うフレーズですが、
「マラソンは、
スタートラインに立った時点で
結果の9割は決まっている」
というのが、まさにこれ。
スタートラインに立つまでの間に
どこまで
「自分の80%のラインを引き上げられるか」
の勝負なのです。
そして、レース当日は、
「100%出せなくても、80%出せればOK」
と思うことができれば、
気持ち的にもかなり余裕が持てるし、
変な緊張や不安もなくなります。
その状態を作ったら、
あとはレースを伸び伸びと
楽しんで走れば良いのです。
周到な準備さえしていれば
結果は後からついてきますから。
ポジティブシンキング・
ネガティブシュミレーション
それでは今回もそろそろ
締めていこうと思いますが、
ここまでの話をまとめると、
- 自分のポテンシャルは、ポジティブに信じろ
- シュミレーションは、ネガティブに想定しろ
ということになるかと思います。
ここまで読んで、僕のことを
「ネガティブなやつだな…」
と思っているかもしれませんが、
僕は自分のことを
ネガティブだとは思っていないし、
あなたに対して「ネガティブであれ」と
言っているわけでもありません。
むしろ、
自分の「ポテンシャル」に関しては、
理想的・ポジティブであるべきだと思っています。
「自分はやればできる」
という絶対的な自信がなければ、
未来を見据えてトレーニングなんてできませんから。
そして、積み重ねてきたトレーニングは
大いに「自信の源」にしてよろしい。
その上で、現実的に起こりうる
「ネガティブな想定もしておけ」ということです。
絶対的な自信と、現実的な視点さえあれば、
「最悪でも、これくらいはいけるだろう」
という想定は、むしろ安心につながります。
今まさにレースを目前に
控えている人も多いと思いますが、
今一度冷静になって、
自分の「現状」と「目標」を
見つめ直してみると良いと思います。
自分が積み上げてきたトレーニングと
照らし合わせて、自分の力を
現実的に把握できた時に
「適正なペース設定」や「レース戦略」、
「ターゲットタイム」といったものが
はっきりと見えてくるはずです。
ぜひレース当日まで、
できる限りのシュミレーションをして、
不安なく、自信を持って、
スタートラインに立ってください。
応援しています。