練習では速いけどレースでは失速してしまう人の特徴【BRC通信#018】
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先日スタンダードクラスの
トレーニングフィードバックにて
「巷でよく見かける失敗」に
また遭遇しました。
それは、
練習では速く走れるけど
レースでは失速してしまう問題
です。
こういう人、
あなたの身の回りにいませんか?
あるいは、
あなた自身に同じような
心当たりはありませんか?
もし心当たりがあるならば、
今回の内容は
絶対に押さえておいた方が良いので
ぜひ最後までお聞きください。
・・・・・
で、実際に
練習では速く走れるけど
レースでは失速してしまう
っていう人は結構多いんですね。
しかしその一方で、
全く逆のタイプの人もいます。
つまり、
練習では速く走っていないのに
レースでは失速せずに良いタイムを出せる
という人です。
ここでは、
練習では速く走れるけど
レースでは失速してしまう人
をAさん。
練習では速く走っていないのに
レースでは失速せずに良いタイムを出せる人
をBさんとしましょう。
で、
この話を聞いている人の多くは
おそらく「Bさん」を
目指したいはずです。
練習でどれだけ速く走れても
肝心のレースで結果が出せなければ
「競技成績」という点では
意味がないですからね。
では、
AさんとBさんとの間で、
いったいなぜこのような違いが
生まれるのでしょうか?
・・・・・
結論から言います。
結論は、
「自己理解できているかどうか」
です。
もちろんこの話に関しては、
いろんな見方はできますが、
今回は「自己理解」という部分に
論点を絞りましょう。
では、
「自己理解できている」とはどういうことか。
それは言い換えると、
「自分の現状の力を適切に把握できている」
ということです。
例えば、Mペース。
マラソンのレースペースについて
考えてみましょうか。
前述したAさんとBさんが
全く同じ身体能力を持っていたと仮定します。
ということは、当然
マラソンのレースペース(=Mペース)も
全く同じということになります。
なので、ここでは
Aさん、Bさんともに
「Mペース = 5:00/km」
としましょう。
その前提で、
Aさんは自己理解が十分にできていないタイプ。
Bさんは自己理解がよくできているタイプ。
です。
Aさんは
自己理解が十分できていないので、
自分の現状のMペースを
正しく把握できていません。
もっと言うと、
自分のMペースを実際よりも速い
「4:50/km」ペースだと考えています。
だから、練習時において
「Mペースで14km走りましょう」
と言われた時に、
「4:50/km」のペースで
14kmを走ります。
その一方で、
Bさんは自己理解がよくできているので、
自分の現状のMペースも
正しく理解できています。
だから、練習時においても
「Mペースで14km走りましょう」
と言われた時に、
きっちり「5:00/km」のペースで
14kmを走ります。
さて。
ここまでの状況を踏まえていかがですか?
単純に整理すると、
「Mペースで14km走りましょう」
という練習において、
Aさんは、
「4:50/km」のペースで
14kmを走りました。
Bさんは、
「5:00/km」のペースで
14kmを走りました。
という事実が残ります。
Aさんの方が速く走っている。
Bさんの方が遅く走っている。
これで間違いありませんね?
では、
もう少し踏み込んで考えてみましょう。
AさんとBさん、
“良い練習”ができているのは
どちらだと思いますか?
・・・・・
その答えは、Bさんです。
Aさんは“良い練習”ができているとは言えません。
Bさんの方が“良い練習”をできています。
ちなみに
ここで言う“良い練習”の条件は、
「速く走ること」ではありません。
ここで言う“良い練習”の条件は、
「目的通りに走れていること」
です。
つまり、今回の例で言えば、
「マラソンペースで走る」
「マラソンペースの刺激を与える」
「マラソンペースの動きに慣れる」
「マラソンペースをコントロールする」
という目的があって、
その目的をきちんと果たせている人が
“良い練習”をできている
ということになります。
だから、
Aさんは、
Mペースで走れていない
(Mペースより速く走りすぎている)という点で
“良い練習”ができているとは言えませんし、
Bさんは、
ちゃんとMペースで走れているという点で
“良い練習”をできていると言えるわけです。
ご納得いただけますでしょうか?
・・・・・
では、ここまでの話を聞いて
「速く走って何が悪いんだよ?」
と思っているかもしれませんので、
そこについてもう少し説明します。
別に僕は
「速く走ることが悪い」
と言っているわけではありません。
速く走る練習は、
それはそれで有効です。
ただし、
「速く走る練習は
また別の機会にやればいい」
というのが僕の考えです。
少なくとも
「Mペース走」というのは、
「マラソンペースで走る練習」です。
だから
「Mペース走」は、
適切なマラソンペースで走らないといけない。
もはや小泉進次郎構文に
なってしまっている気がしますが、
かっこよく言えば、
「トートロジー(常に真である論理)」です。
まずはここを徹底して理解してください。
そして、
「Mペース」とはすなわち、
「(コンディションを万全にした状態で)
42.195km走り通せるペース」
のこと。
ということは・・・?
勘の良い方は分かりますね。
Mペースは、
「かなりの余裕を持って走れるペース」
になるはずなんです。
今回の例えでは、
14kmのMペース走ということでしたが、
14km程度(フルマラソンの3分の1)の距離であれば
そこそこの余裕を持って
走れるくらいじゃないといけません。
もし14kmのペース走を
余裕で走り切れなかったのなら、
そのペースはまだ
あなたのMペースではない可能性が高いです。
14kmという距離であれば
少し無理をすれば
Mペースより多少速くても
走れてしまうかもしれません。
でも、
14km走れたとしても
余裕がなかったらダメです。
余裕を持った上で
14km走り通す必要があります。
だってレース本番は
42.195kmを走るんですよ?
14kmの3倍の距離ですよ?
本当にそのペースで
42.195km走りきれますか?
自分のMペースがどれくらいか推測する時は、
「本当にこのペースで
42.195km走り切れるのか?」
という部分をしっかりイメージしてください。
マラソントレーニングは
ただ速く走れば良いってものじゃありません。
自分にとっての適正なペースを理解して、
それぞれのトレーニングにおいて
目的通りのペースで走るようにしましょう。
今回の例で言えば、
自分のMペースを適切に理解して、
きっちりとそのペースを守って走るべき、
ということです。
これを怠るとどうなるか。
例えば、Aさんの場合であれば、
自分の本来のMペースが
「5:00/km」であるにもかかわらず、
本人の中でのMペースは
「4:50/km」であるという
勘違いをし続けてしまいます。
そして、その勘違いをしたまま
レース本番においても
「4:50/km」で走ってしまう。
しかし、Aさんにとって
「4:50/km」は明らかにオーバーペース。
練習の14kmであれば、
無理をすれば「4:50/km」で
走れたかもしれませんが、
その3倍の距離となると、
そう簡単にはいきません。
なので結局、
25km以降とか30km以降で
失速してしまう羽目になるわけです。
その一方で、Bさんは、
自分のMペースを正しく認識しているので、
レース本番でも本来のMペースである
「5:00/km」ペースを淡々と刻む。
その結果、
最後まで失速せずに
42.195kmという距離を走り通し、
トータルタイムも良くなるわけですね。
ここが、AさんとBさんの
大きな大きな違いです。
同じ身体能力を持つ
AさんとBさんであっても、
「自分の現状の力を
適切に把握できているかどうか」
で、レースの結果に
大きな差が出てしまいます。
つまり、「自己理解」の部分ですよね。
これは本当に大事。
でも、これって
「考え方次第」なので、
ある意味すぐに改善できる部分でもあります。
ちゃんと頭を使うこと。
自分の身体や性格をよく理解すること。
冷静に考えて走ること。
トレーニングの目的をよく理解すること。
こういった意識次第で、
トレーニングの質も改善できるし、
レースの結果も改善できるということです。
であれば、
絶対やった方が良いですよね。
「自己理解」
大事にしてください。
それでは。
本日は以上です。
最後までお聞きいただき
ありがとうございました。
ぼっちランナーズ【BRC】
代表 上原一真
『現状分析 & 目標設定 & 課題発見』
個別コンサルティング