自分のVDOTを計算してみよう。VDOT計算ツールの使い方

「解体新書」#19
■本講義のテーマ■
1自分の「VDOT = 走力」をオンライン(※無料!)で計算する方法が分かる。 2「VDOT計算ツール」を使って、自分の「適正なトレーニングペース(5種類)」が分かる。
オススメの「VDOT計算ツール」
いきなり結論から言ってしまうと、オススメの「VDOT計算ツール」はこちらです。 ↓↓↓
『Jack Daniels’ VDOT Running Calculator』/ Run SMART Project
オススメする理由は・・・
●無料
●使いやすい (英語サイトだけどいくつかの単語を覚えれば問題なし) ●「VDOT = 走力」が計算できる。 ●「適正なトレーニングペース(5種類)」が計算できる。
【BRC】マラソン完全攻略「解体新書」 2/13ページ というわけで、上のリンクから「VDOT計算ツール」を勝手に使ってもらってもいいんです
が・・・それだとあっけないので、ポイントを解説しますね。 「VDOT計算ツール」で確認すべきことは以下の2つ。
では、上記の2つについて軽くおさらいしておきましょう。
おさらい1:自分のVDOT = 走力を知るメリット まず「VDOT」は何かということについておさらい。
超簡潔に言いますと、『VDOT』=“走力”でしたよね。
では、自分の「VDOT」を知ることで、どんな良いことがあるのでしょうか?
それは、あるレースでのタイムから計算して、異なる距離のレースでどれくらいのタイムで走れる かが推測できるということ。例えば、フルマラソンを(全力で走って)サブ3で走れる人は「VDOT = 54」という走力になります。この「VDOT = 54」レベルのランナーがフルマラソン以外の距 離をそれぞれ全力で走ると・・・
■サブ3レベルのランナーのそれぞれの距離での推測タイム■
[基準VDOT = 54 (フルマラソン = 2時間58分47秒)] ・ハーフマラソン = 1時間25分40秒
・10km = 38分42秒
・5km = 18分40秒
・3000m = 10分47秒 ・1500m = 5分02秒
というタイムが予測されます。あくまで予測には過ぎませんが、距離の違いにかかわらず自分の走 力(VDOT)に相当するタイムが計算できるのです。これが自分の「VDOT」を知るメリットの一つ 目。
おさらい2:“5種類のトレーニングペース”を知るメリット
次は“5種類のトレーニングペース(E、M、T、I、Rペース)”についておさらい。 “5種類のトレーニングペース”とは以下の5つのペース。
■「VDOT計算ツール」で確認すべきこと■
1 VDOT = 走力 (どの距離をどれくらいで走れるか)
2 5種類のトレーニングペース(E、M、T、I、Rペース)
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■ダニエルズ理論の“5種類のトレーニングペース”■
1Eペース(イージーペース/Easy Pace)
2Mペース(マラソンペース/Marathon Pace)
3Tペース(閾値ペース/Threshold Pace)
4Iペース(インターバルペース/Interval Pace)
5Rペース(レペティションペース/Repetition Pace)
「ダニエルズ理論」によると、マラソン練習においては以上の5つのペースを使い分けることによ って、より効果的なトレーニングが可能になると言われています。これらのペースは「トレーニン グの目的と種類」によって使い分けます。
さらに、“5種類のトレーニングペース”はその人の走力レベルつまりVDOTによって異なるので す。というわけで、
まず自分のVDOT = 走力 を確認する。
↓ 次に、自分のVDOTに対応した“5種類のトレーニングペース”を確認する。
という流れになります。
【BRC】マラソン完全攻略「解体新書」
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オンライン「VDOT計算ツール」の使い方【手順】
では、「VDOT計算ツール」の使い方について。 ここでは[Cさん]を例に「VDOT計算ツール」の使い方をデモしていきましょう。
[Cさん] 現状:フルマラソン3時間15分 目標:フルマラソン3時間切り(サブ3)
Cさん : サブ3するにはどうすればいいのかな?とりあえず全速力で10kmとか走って
おけばいい?
ウエハラ : うーん・・・それでも全く無駄な練習ってことはないんですが、もっと計画 的にトレーニングすると効率的ですよ。というわけで、まずは「現状分析」 です。そこから目標であるサブ3を目指すに当たって何が足りないのかを考え ましょう!
(1) 現状VDOTを確認する ウエハラ :
Cさんの最近出したマラソンの記録はどれくらいですか?
Cさん : 半年前に走ったマラソンが3時間15分で、自己ベストだったよ!
では、その「3時間15分」をCさんの現状を表すタイムとし、これを基準に計算していきます。
種目を選びます。
今回は「Marathon (マラソン)」を選びます。
【BRC】マラソン完全攻略「解体新書」 5/13ページ
引用元:Jack Daniels’ VDOT Running Calculator / Run SMART Project
1 種目を選択 まだフルマラソンを走ったことがなくてフルマラソンの記録(タイム)を持っていない方は「Half marathon (ハーフマラソン)」や「10K」など自分が走ったことのある距離を選んでもOKです。
2 単位を選択
アメリカのサイトなので、距離の単位が「mi (マイル)」になっています。 必要に応じて「km」に単位を変えることができます。 使いやすい方を選べばOK。
3 現状のタイムを入力 ここでは、Cさんが半年前に出した記録「フルマラソン:3時間15分」を現状のタイムとします。 「3:15:00」と入力しましょう。
【BRC】マラソン完全攻略「解体新書」 6/13ページ
この時、複数の記録(タイム)を持っている場合は、その中で最も自分の現状に近いものを基準とし ましょう。
ここでは、なるべく正しい現状分析をすることが目的です。背伸びして自分の現状からかけ離れ た記録を入力しても意味がありませんので要注意。
4 Calculate (計算)
「Calculate (計算する)」ボタンをクリックすると、現状VDOTが計算されます。 では、こちらが「フルマラソン:3時間15分00秒」で計算した結果!
引用元:Jack Daniels’ VDOT Running Calculator / Run SMART Project
Cさん :
おお!「VDOT = 48.7」か! これが僕の現状VDOTということだね。
【BRC】マラソン完全攻略「解体新書」
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ウエハラ :
その通り!では、この「VDOT = 48.7」という走力が、他の異なる距離では どれくらいに相当するのかをチェックしてみましょう。
「Equivalent (相当性)」というタブをクリックしてみてください。
引用元:Jack Daniels’ VDOT Running Calculator / Run SMART Project
Cさん :
なるほどー。 これがそれぞれの距離で僕が出せるであろうタイムだね。マラソンの他にハー フマラソン、15K、10K、5K、3K、1500m・・・
たくさんあるんだね。
【BRC】マラソン完全攻略「解体新書」
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ウエハラ :
これらの予測タイム、それなりに当たってるんじゃないですか? VDOT計算はその正確性の高さが評価されていて、多くの長距離ランナーが 参考にしているんですよ。ところで、逆に実際の自己ベストと大きく異なる 項目はありませんか?
Cさん : えーと・・・10Kのタイムなんだけど、僕の10Kの自己ベストは39分50秒で 40分を切ってるんだ。でも、このVDOT計算では10Kの予測タイムは42分 18秒って出ている。実際のタイムと結構違うんだけど、これってどういうこ と?
ウエハラ :
ほほう。Cさんは10Kを40分切る力があるんですね。 ということは、おそらく三部さんは「スピード型」のランナーだと予想でき ますね。フルマラソンの記録の割に、10Kの記録の方が良いということで す。 逆に言えば、10Kのタイムの割にフルマラソンの記録が遅い。ということは 「スタミナ不足」の可能性が高いですね。
Cさん : うっ!
確かに普段10km以上走ることが少ないからなぁ・・・ 10km程度の距離なら比較的早く走れるけど、フルマラソンになると後半失速 しちゃうことが多いんだよね。
ウエハラ :
やはり、そうでしたか。 でも、課題がはっきりして良かったですね。逆に言えば、スタミナを強化す れば三部さんのフルマラソンの記録はまだまだ伸びますよ! 今後は「スタミナ強化」を意識して練習してみましょう。
このようにVDOT計算をすれば、自分の現状分析をした上で課題が明確になってきます。
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(2) 現状VDOTにおける“5種類のトレーニングペース”を確認する
Cさん : じゃあ、練習で走るべきペースはどれくらいになるのかな?確か5種類のトレ ーニングペースがあるんだよね。
そちらも確かめたいな。
ウエハラ :
「VDOT = 48.7」という走力において、5種類のトレーニングペースを確認 するには、「Training (トレーニング)」というタブをクリックします。
引用元:Jack Daniels’ VDOT Running Calculator / Run SMART Project
Cさん :
おー凄い! 一瞬で出てきたぞ。これが僕の“5種類のトレーニングペース”か。 つまり、練習で走るべきペースだね。
ウエハラ :
はい!ただし、これはCさんの現状の走力である「VDOT = 48.7」におい て計算した5種類のトレーニングペースです。まずはこのレベルで練習して、 そこからどんどんトレーニングをレベルさせていくわけですね。
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(3) (1)と同じ手順で、目標VDOTを確認する では、(1)と同じ手順で目標であるサブ3のVDOTを計算してみましょう。 ただし、3時間00分ジャストだと心もとないので、ここでは「2時間59分」を目標タイムとして入 力します。
ウエハラ :
「VDOT = 53.9」というVDOTが計算されました。これが目標VDOTです ね。
Cさん :
「VDOT = 53.9」ここを目指すんだな。。。
で、(1)と同じように「Equivalent (相当性)」をチェックします。
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Cさん :
ふむふむ。 フルマラソン2時間59分00秒で走るには、ハーフマラソンを1時間25分47秒 で走るくらいの力が必要ということか・・・3ヶ月後にハーフマラソンを走る 予定だから、その時までに1時間25分で走れるようになっておきたいな。
ウエハラ : そうですね。 そんな感じで、別の距離に置き換えてイメージできるのがVDOTの便利さな んです。
(4) (2)と同じ手順で、目標VDOTにおける“5種類のトレーニングペース”を確認する では、(2)と同じ手順で目標VDOT = 53.9における“5種類のトレーニングペース”を確認しておき ましょう。「Training (トレーニング)」というタブをクリックします。
【BRC】マラソン完全攻略「解体新書」 12/13ページ
引用元:Jack Daniels’ VDOT Running Calculator / Run SMART Project
ウエハラ : そうですね。練習でこれくらいのレベルで走れるようになると、かなりサブ 3達成の可能性は高いと言えますよ。 ただし、一つの目安に過ぎないということもお忘れなく。
Cさん :
おおっと・・・ なかなかハードなトレーニンペースだなぁ。サブ3を達成するためには、 3:41/kmペースでインターバルトレーニングをしたり、4:00/kmペースで閾 値トレーニングをしたりしないといけないということだね。
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(5)「現状VDOT」から「目標VDOT」に達するまでのプロセスを描く
ウエハラ : はい。 ここまでで「現状VDOT」と「目標VDOT」そしてそれぞれの“5種類のトレ ーニングペース”が分かりましたね。
Cさん : うん!
「現状VDOT = 48.7」「目標VDOT = 53.9」だったよ。 だから、これからの練習で「現状VDOT = 48.7」を「目標VDOT = 53.9」 に引き上げていけばいいんだね!
ウエハラ :
その通りです! ただし、いきなり目標に達することは無理なので、段階を踏んでステップア ップしましょう。そして、目標レースに臨む頃に「目標VDOT = 53.9」レ ベルで練習(5種類のトレーニングペース)をこなせるようになっていればバッ チリです!
Cさん : 「現状VDOT」から「目標VDOT」に達するまでのプロセスを描くってこと だね!
VDOTを意識することで、自分の現状と目標を具体的にイメージできます。 トレーニングの進捗管理にも役立ちますので、ぜひ活用していきましょう。
まとめ 『VDOT計算ツール』
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1オススメの「VDOT計算ツール」は・・・
『Jack Daniels’ VDOT Running Calculator』/ Run SMART Project
2「VDOT計算ツール」で確認すべきことは以下の2つ。
・VDOT = 走力 (どの距離をどれくらいで走れるか)
・5種類のトレーニングペース (E、M、T、I、Rペース)
「現状VDOT」から「目標VDOT」に達するまでのプロセスを描こう。
そして、自分の現状と目標を具体的に把握し、トレーニングの進捗管理に役立てよう。