身の程をわきまえろ[トレーニング記録 : 2023/1/30-2/5]|ぼっちランナーズ【BRC】

身の程をわきまえろ[トレーニング記録 : 2023/1/30-2/5]

上原 一真

こんにちは。
上原です。

今週分の
トレーニング記録(Training Log)
公開します。

身の程をわきまえろ

今週は久しぶりのウルトラマラソン、「奄美よーりよーりラン」50kmに参加。

トレーニングを再開して5週間。
ちょうど1ヶ月が経つタイミングで、「超長距離トレーニング」と「現状確認」の目的で50kmを走ってみました。

レース前の目論見としては、平均4:00/kmペース、50kmをトータル3時間20分くらいで走れたら上出来かなという感じ。フルマラソンに換算すると2時間48分のペースです。

結果としては、、、

30kmまでしかまともに走れなかった

です。

結果はトータル3時間49分で、平均4:38/kmペースくらい(フルマラソン換算で約3時間15分)。

ただ、かなり起伏が多かった(710m上昇)ことと、38km以降ちょくちょく歩いたりしたことで、最高ペースと最低ペースにはかなりバラつきがあります(実際に4:38/kmペースで走っていた区間はあまりない)。

~15kmまでは、3:45-4:00/kmで楽々と走れていたので感覚はまあまあ良かったのですが、15km以降のトレランばりの上り坂で一気に減速。ただ、リズムだけは崩さないように淡々と駆け上りました。

難所の峠を上りきったところでちょうど半分の25km地点。全身的にはまだまだ余裕はありましたが、脚にはかなりダメージが積もっていたようで、そこからの急激な下り(5kmほど続く)では膝がぶっ壊れるのではないかという感覚があり、ペースを緩めながら慎重に走りました。

坂を下りきると32km地点。束の間のエイド休憩を経て再び走り出しましたが、この時点で、だいぶ動きが鈍ってきていました。
ここ1ヶ月の練習では20kmを超えるペース走をしていなかっただけに、やはり「距離耐性が足りないな」と痛感。

32km以降も、前半の峠ほどではありませんが、ダラダラとした上り下りが延々と続くコースなので、リズム良く駆け抜けないとどんどん脚が消耗していきます。
とはいえ、すでに脚筋力も結構削られている状態でしたから、なかなかうまくリズムを作れずに徐々にペースダウン。35km以降はほぼジョグ(5:30~6:00/kmくらいかな)になってしまいました。

38km以降は時折歩いたりしながら、ちびちびと歩を進めるような形に。
正直、ランニングとも言えないような走りでしたが、こんな風に筋グリコーゲンが枯渇した感覚(脚を動かそうにも動かないあの感覚)を味わうのは久しぶりだったので、ある意味良いトレーニングになったと思っています。いわゆる「粘る練習」ですね。

そして、43km地点のエイド休憩で少し補給と休憩をし、ちょっと回復したので再びジョグペースで走り始めました。

ウルトラマラソンには割と「復活」という感覚がありまして、さっきまで全然身体が動かなかったのに、何かのきっかけでいきなり身体が動くようになることが多々あります。
これは、きっとマインドブロック的な何かが影響しているんでしょうね。人間の脳は、我々の身体が勝手に無理をしないようにリミッターをかけていますから。

あまり無闇やたらにこのリミッターを外そうとするのは、後々の反動が怖いのであまりお勧めはしませんが、「ここぞ」という時に自分のリミッターを外すことができると良いのかもしれません。まあ僕は堅実・安全派なのであまりやりませんが。笑
レース中の一時的な爆発力よりも、事前に自分の地力を底上げしておくことの方が、凡人にとっては基本的な戦略としてふさわしいと思います。

とかそんなことを考えながら淡々と走っている内に最後の峠に差し掛かります。
最後の最後の起伏でまた苦しめられ、歩いたりはしましたが、残り数kmなのでどうにかこうにか脚を動かし続けました。ただ、意識としては「上半身で走る」感覚で、動かない脚をいかに上半身で動かしていくかというイメージで走りました。

フルマラソンも同じですが、長距離を走っていると、上半身と下半身で言えば、相対的に下半身の方が使われる割合が大きいです。特に無意識に走っていれば、多くの人は下半身ばかり使って走ってしまうでしょう。

なので、「上半身を使う」ことに強く意識を向けると、上半身と下半身の使用バランスが取れてくると思います。
特にフルマラソン終盤、脚が売り切れかけている状態の時に「上半身を使う(例えば腕振り)」ことを意識すると案外身体が動くようになる、なんてことはよくあります。

「マラソンは脚で走るスポーツ」と思い込んでいる人は、一旦その概念を取っ払い、「マラソンは全身で走るスポーツ」なんだと認識をアップデートしてみると良いと思います。

・・・そんなこんなで、3時間49分でフィニッシュ。田舎の小さな大会ですが、50kmの部では1位でした。

良くも悪くも「現状確認」できた

ここまで、時系列でドバーッと書き連ねてしまいましたが、ここからはテーマを絞りたいと思います。

今回の50kmで一番痛感したのは「距離耐性の不足」です。
練習で20km超えのペース走をしていなかったので、当たり前といえば当たり前なんですが、やっぱり30kmを過ぎてから身体が動かなくなるという事態が発生しました。

まあ、これに関しては、「当たり前のことは、当たり前に起こるよね」という感じで、特に残念という感じもないです。
原因が明確なので、これからは距離耐性がつくように、もっと長い距離のペース走を増やしていくだけですね。とるべき対策も、いたって明確。

・・・で、ここまでの話を踏まえて今回は何をお伝えしたいかと言うと、

自分の“今の”限界を知ろう

ということです。

これは、ありきたりに言えば「現状確認」と言ってもいいのですが、「現状確認」という言葉だと「何をどのように現状を確認するの?」と、どうしても実感が湧きにくい人もいるのかなと思います。

だから、敢えて「自分の限界を知ろう」という言い方をしますが、要するに「身の程をわきまえなさい」ということです。

こう言うと、今度はネガティブな響きに嫌悪感を抱く人もいると思いますが、「身の程をわきまえる」って、自分に適したトレーニングを実践する上では絶対必要なことなんです。

今回の僕も50kmのレースを走ってみて、30km以降まともに走れなかった。思いの外、身体が動かなくなった。35km以降は、筋グリコーゲンが枯渇し、ちびちび歩くことしかできなくなった。

これが、僕の「現状」。
まずは、この現実を受け入れなければいけません。

これは、傍目に見たら、もしかしたら嘲笑されるものかもしれません。
でも、当の本人である僕はそう思ってなくて、ただただ「なるほど、今はこんなもんか」と現状認識しているだけです。
別にこの事象に対して、悲しいだとか悔しいだとかいう感情もありません。

なぜなら、

「今の自分は◯◯/kmペースで30kmまでしか走れないのか」

↓ ↓ ↓ ↓ ↓

「じゃあ、◯◯/kmペースで35km、40km、42kmと走り続けられるように、次はこのトレーニングが必要だな」

と、「自分の今の限界(現状)」を踏まえた上で、次の対策を考えることができるからです。

これは「自分の今の限界(現状)」が認識できたからこそ次の対策が明確になったということですし、そういう意味でとてもポジティブなことだと僕は思うのです。

「限界」は引き上げていける

そして、もう一つポイントなのが、「“今の”限界」と、“今の”を強調して表現しているように「限界」は引き上げていくことができるということです。

というか、むしろ「限界を引き上げていくこと」がトレーニングの本質であり、どのように限界を引き上げていくかを常に考えなければいけないのがトレーニングです。

ところが、一般の市民ランナーの方々を見ていると、トレーニングを段階的に把握できていない人も意外に多くて。

例えば、「サブ3を目標としている、現状3時間15分のランナー」がいきなり「サブ3水準のトレーニングをする」というのがよくある間違いですね。

彼らの言い分としては、「サブ3を目指しているのだから、サブ3ランナーと同じレベルの練習をすれば良いんでしょう?」というものなのですが、この言い分には「自分の現状」という観点がごっそり抜け落ちているというところが問題点です。

サブ3を目指すのであれば、サブ3という到達点だけを見ていてはいけません。
なぜなら、3時間15分のランナーが、いきなりサブ3水準のトレーニングをこなすことは無理だからです。

自分の現状から目を逸らして、身分不相応なトレーニングを延々続けていても意味はありません。
文字通り「身分不相応」なわけですから、そもそもそのトレーニングをこなせないし、消化不良のトレーニングが続いてしまえば、ただただ自信を失っていく羽目になりかねません。

だから、この人が本当に目を向けるべきなのは、「今の自分の限界(3時間15分)とサブ3の間にあるギャップ」。
つまり、「自分の現状と目標の間にあるギャップをいかに埋めるか」を考えていかないといけないということです。

そのためには、「自分の“今の”限界(現状)」を理解することが必要不可欠ですし、そこから自分の限界を段階的に引き上げていくことを考える必要があります。その積み重ねがあって、ようやく「目標」というものに到達できるわけです。

が、この「段階」や「プロセス」をすっ飛ばして、「目標点」だけしか見ていない人があまりにも多いですし、ある程度の経験者であっても意識していないと、この「段階」の視点を忘れてしまうので注意が必要です。

・・・とまあ、これまでの話は常々言っていることなんですが、それだけ重要なことなんだと思っていただければ嬉しいです。

同じ結論であっても、違った角度から説明されると浸透具合が変わるなんてことはよくありますから。
折に触れて、思い出していただきたいなと思っています。

1週間のトレーニング記録
– Weekly Training Log –

日付曜日時間帯練習内容練習結果走行距離
1/30AMOFF0 km
Mon.PM4K Recovery Jog4 km
1/31AMOFF0 km
Tue.PMOFF0 km
2/1AMOFF0 km
Wed.PM12km Jog + 5×WS + 6K Jog on trail&hill1h47m19 km
2/2AMOFF0 km
Thu.PM5 × (2K on / 2K off) on XC[Laps / 2K / XC]
#1. 7:37 (3:48/k) / 8:02 (4:01/k)
#2. 7:37 (3:48/k) / 7:49 (3:55/k)
#3. 7:24 (3:42/k) / 7:49 (3:55/k)
#4. 7:25 (3:42/k) / 7:51 (3:56/k)
#5. 7:23 (3:41/k) / 7:45 (3:52/k)
[Total]
1:16:47 (Ave. 3:50/k)
25 km
2/3AMOFF0 km
Fri.PM14K Jog + 5×WS + 6K Jog2h15m21 km
2/4AMOFF0 km
Sat.PMOFF0 km
2/5AMOFF0 km
Sun.PM【奄美よーりよーりラン】
50km (49.3km)
[Time]
3時間49分08秒
[Elev. Gain]
710m
[Place]
50kmの部 1位
50 km
週合計119 km
1週間のトレーニング記録 / Weekly Training Log

月 Mon.

AM

OFF

PM

■ Strength : 3set × 上半身A

■ 4K Recovery Jog
 [Distance]4km
 [Duration]25m

OFF

火 Tue.

AM

OFF

PM

OFF

水 Wed.

AM

OFF

PM

■ Strength : 3set × 体幹A

■ 12K Jog + 5×WS + 6K Jog on hill&trail
 [Distance]19km
 [Duration]1h47m
 [Elev. Gain]450m

木 Thu.

AM

OFF

PM : ポイント練習

■ Strength : 3set × 上半身A

■ Workout :
W-up Jog 2K on XC + 5×WS

5 × (2K on / 2K off) on XC

[Laps / 2K / XC]
#1. 7:37 (3:48/k) / 8:02 (4:01/k)
#2. 7:37 (3:48/k) / 7:49 (3:55/k)
#3. 7:24 (3:42/k) / 7:49 (3:55/k)
#4. 7:25 (3:42/k) / 7:51 (3:56/k)
#5. 7:23 (3:41/k) / 7:45 (3:52/k)

[Total]
1:16:47 (Ave. 3:50/k)

C-down Jog 2K on XC

金 Fri.

AM

OFF

PM

■ Strength : 3set × 下半身A

■ 14K Jog + 5×WS + 6K Jog
 [Distance]21km
 [Duration]2h15m
 [Elev. Gain]480m

土 Sat.

AM

OFF

PM

■ Strength : 3set × 体幹A

OFF

日 Sun.

AM

OFF

PM : レース

■ Race :

【奄美よーりよーりラン】
50km

[Time]
3時間49分08秒
[Elev. Gain]
710m
[Place]
50kmの部 1位

1週間の振り返り

週間走行距離

1/30-2/5 : 119 km

■ 週間走行距離の推移 (2023年)
  • 1/2-1/8 : 89 km
  • 1/9-1/15 : 98 km
  • 1/16-1/22 : 105 km
  • 1/23-1/29 : 91km
  • 1/30-2/5 : 119 km

手応えを感じた点、良かった点

先週から今週の前半にかけて、しっかり休んだおかげで、今週水曜日の山道ジョグはかなり躍動感のある動きで走れた。メゾサイクル間の休養の重要性を再認識。

翌日木曜日の「5 × (2K on / 2K off)」も、かなり良い動きの感覚で走れた。
バネ感はありつつ、跳ねすぎない走りで省エネな走りを意識。現状のMペースと思われる3:50/kmペースで、かなりゆとりがある。

日曜日は、「超長距離トレーニング」と「現状確認」を兼ねてウルトラマラソン50kmに参加。
20kmを超えるペース走等をしていなかったので、「距離耐性の不足」は露呈したが、前半15kmは3:45~3:50/kmペースでかなりゆとりのある走りができたので、Mペースは順調に引き上がってきている感触。

改善点、今後の課題

ウルトラマラソン50kmで露呈した「距離耐性の不足」。
長めの距離のペース走をしていなかったので当然といえば当然だが、、、

脚が売り切れてからは見事に身体が動かなかったので、「筋グリコーゲンが枯渇しかけた状態で、動かない身体を動かしていく」という経験も時々は必要だなと実感した。
ただ、こういう枯渇状態を一度でも経験すると、一気に身体が適応する感覚があるので、次回以降のLSDやロングペース走でその変化を観察したい。

トレーニングの一環とはいえ、久しぶりに50kmを一気走りしたので、普段は疲れない部位(腰や肩、内臓)まで疲労を感じた。
思った以上にダメージがありそうなので、来週は走行距離を抑えつつ、疲労具合に合わせて無理のないスピード刺激を適度に与えていこうと思う。

総合評価

7/10段階中

1ヶ月間の振り返り

月間走行距離

2023年1月 : 387 km

■ 月間走行距離の推移 (2023年)
  • 1月 : 387 km

手応えを感じた点、良かった点

トレーニング再開して、ちょうど1ヶ月。
トレーニングの質・量ともにまずまずの滑り出しかなと。

「ブランク明け」の段階なので、スピード・スピード持久力・スタミナを満遍なく刺激していくことを意識。極端に偏ることなくバランスよくトレーニングした結果、以前の6.5~7割くらいまでは戻ってきた感触がある。

現状のMペース=3:45~3:50/kmくらいか。
あと2ヶ月くらいかけてトレーニングすればMペース=3:30~3:35/kmくらいには上がってくるだろうとイメージしている。

改善点、今後の課題

「ブランク明け」なので、やはりトレーニングの負荷に対して身体がびっくりしている印象。
特にポイント練習後の疲労感が結構大きく、つなぎのジョグではほとんどペースが上がらないことも多かった。
だが、これに関しては、徐々に身体が慣れていくだろうから、様子を観察しながら無理ないように調整していく。

2月いっぱいは、引き続きバランス良くトレーニングしつつも、徐々にトレーニングボリュームを増やしていき「スタミナ強化」「距離耐性強化」といったところに舵を切る予定。

3〜4月は、マラソン特異的トレーニングを重点的に行い、4月16日の喜界島マラソンに向けて準備(2時間30分を切るところまで持っていけたら理想)。

5月は野辺山ウルトラマラソン100kmに向けて、さらにスタミナ強化。野辺山は記録を狙うわけではないが、100kmをなんなく走り切れるくらいのスタミナはこの時点で身につけておきたい。

ここまでを一旦、基礎構築のトレーニングブロックとし、一旦休養を挟んだら夏は「スピード強化」と「トラックレース」に集中。

総合評価

6/10段階中

今後の予定
– Schedule –

  • 4/16(日) 喜界島マラソン (鹿児島) 42.195km
  • 5/21(日) 八ヶ岳野辺山ウルトラマラソン (長野) 100km
  • 10/29(日) (仮)金沢マラソン (石川) 42.195km
  • 2024/2/17-21 (仮)鹿児島県下一周駅伝 (鹿児島)
  • 2024/3/3 (仮)鹿児島マラソン (鹿児島) 42.195km

お知らせ
– Information –

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※ メンバー募集は「毎月1〜3日」です。

ABOUT ME
上原 一真
上原 一真
ランニングコーチ / ぼっちランナーズクラブ【BRC】代表
株式会社SmilesMiles 代表取締役 1992年生まれ、鹿児島県出身。 2005年、中学時代より走り始めランニング歴は17年以上。 1500m~5000mなどのトラック競技から100kmを超えるウルトラマラソン, トレイルランニング, 駅伝など幅広く嗜む。フルマラソンの自己ベストは、2時間34分16秒 (2021年)。 2015年から市民ランナー向けにランニングの指導を始め、サブ4~サブ2時間40分まで様々なレベルの市民ランナーの自己ベスト達成をサポートしてきた。 現在は、オンラインランニングクラブ【ぼっちランナーズ / BRC】を主宰。 「ひとりで頑張るランナーに、もっと強くなるきっかけを与え、自己重要感が高まるランニングを楽しんでもらう」をテーマとして指導に力を入れている。
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