走行距離は“結果論”[トレーニング記録 : 2023/1/23-1/29]|ぼっちランナーズ【BRC】

走行距離は“結果論”[トレーニング記録 : 2023/1/23-1/29]

上原 一真

こんにちは。
上原です。

今週分の
トレーニング記録(Training Log)
公開します。

今週は回復週ということで、
走行距離は91kmと、
先週の105kmから14km落ちました。

先日のライブでも、
「休養(リカバリー)」についての
セミナーを行いましたが、
3~4週間ごとに「回復週」を挟み、
「1週間かけて回復を図る」のは、
非常に効果的かつ実用的です。

分かりやすいところで言うと、
「週間走行距離」を減らすのが
一般的なやり方でしょうか。

しかし、、、

走行距離は“結果論”

なんだなぁ、とは
僕が日頃思っていることです。

マラソントレーニングを始めると、
とにかくみんな「走行距離」を
気にし始めます。

「今月は◯◯km走った」
「今週は◯◯km走った」
「サブ4するためには月間200km走らなきゃ」
「サブ3するためには月間300km走らなきゃ」

とか、なんとか。

さらには、

「ライバルのあの人は月間○○km走っているらしい」
「あの人の月間走行距離を超えなきゃ」

とか、他人と走行距離を
競い合ったりする人もいます。

これらが必ずしも間違っている
というわけではないのですが、
どうしても違和感が残ります。

なぜなら、

必要なトレーニングをした結果が走行距離に現れる

だけだからです。

例えば、
サブ3を達成したいのであれば、
どのような練習をどのくらいすれば良いのか。
といったことをまずは考えますよね。

週に2回のポイント練習があって、
平日のポイント練習はインターバルをして、
週末のポイント練習はロング走をして、
その他のつなぎ練習は大体◯◯分走って、、、
とか。

で、そういった一つ一つの練習を
構造的に組み上げて実施した結果として、

「サブ3を達成しようと練習したら、
 月間走行距離が
 大体300kmくらいになるよね」

となるわけです。

また、これもあまり知られていませんが、
運動生理学においては、
「走行距離」という概念はほとんど使われません。

運動生理学的に、
「運動負荷」を求めようとすると、

運動強度 × 運動時間 (× 運動頻度) = 運動負荷

という公式が使われます。

簡潔に、ランニングの文脈で置き換えると

・運動強度 = ランニングペース

・運動時間 = 走行時間

・運動頻度 = ランニングの頻度(インターバルの反復回数など)

ということになります。

で、ここでポイントなのが、

「走行距離」ではなく、
「走行時間」が掛けられている。

というところ。

要するに、

狙った「強度(ペース)」を、
どれだけの「時間」与えるか

が、運動負荷を決めるということです。

これは例えば、
フルマラソンを3時間程度で走る人と、
フルマラソンを6時間程度で走る人とでは、

それぞれMペースの強度で走り続けると仮定した場合、
フルマラソンの運動負荷が大きいのは、
「6時間程度で走る人」ということです。
なぜなら、「運動時間」が長いから。

こういう事情があるので、
異なる走力レベルの人に対して、
「同じ距離をヨーイドンで走らせる」
手法は、レースだったらまだ良いものの
トレーニングとしては悪手です。

例えば「10km走」という練習があったら、
サブ3レベルの人とマラソン完走レベルの人では、
当然「タイム(運動時間)」が大きく異なります。

そうすると、
両者のレベルにおける「運動負荷」も
大きく変わることになり、
トレーニングの内容としては、
全くの別物になってしまうのです。

だから、
異なる走力レベルが混じった練習会では、
「走る距離」ではなく「走る時間」を基準にした
練習メニューの方が適しています。

例えば、
「40分間走」とか「3分間走×6本」とか。

あるいは、
走力レベルがまだ低い人は、
走力レベルが高い人よりも走る距離を短くして、
運動時間が同じくらいになるように調整します。

この場合、
実際のランニングペースや
実際の走行距離が異なっていたとしても、
それぞれの運動強度で
同じ時間運動しているわけだから、
運動負荷も同じになります。

つまり、繰り返しにはなりますが、

「狙った強度(ペース)を
 一定時間身体に与えた結果として、
 走行距離が表面化される」

ということになるのです。

そして、これらを
1週間単位で見たら「週間走行距離」になるし、
1ヶ月間単位で見たら「月間走行距離」になる。
というだけの話。

あくまで大事なのは、
「何を狙いとしてトレーニングを積んできたか」
という点であり、
その結果が「走行距離」になるわけですね。

走行距離を増やすため“だけ”にトレーニングするのは本末転倒

ここまでの話を踏まえると、
走行距離を増やすため“だけ”のトレーニングが
いかに無意味であるかが
お分かりいただけると思います。

「サブ4するためには月間200km走らなきゃ」
「サブ3するためには月間300km走らなきゃ」

という言説を信じて、
とにかくひたすら走行距離を
増やそうとする人も多いのですが、
それは本質からズレています。

大事なのは、そこに中身が伴っているかどうか。

走行距離だけを増やしたところで、
トレーニングの中身が伴っていなければ、
本当の意味でのパフォーマンスアップは望めません。

僕も月間900kmほど走っていた時期がありますが、
その時よりも月間400kmの時の方が
マラソンの記録は良かったです。

正しい情報の読み取り方

しかし、情報が溢れる現代、
特にインターネット上では
いろんな人がいろんなことを言っていますね。

「サブ3達成するためには月間300km走るべきだ」
「いやいや、サブ3は月間150kmでも達成できるよ」

両者は一見、全く逆のことを言っていますが、
一体どっちが正しいのでしょうか?

・・・・

正直、どっちも正しいし、どっちも正しくないです。

要するに、
この程度の主張だけでは、
情報の正確性は判断できないということです。

その主張は、

「どういう前提や文脈で語られているか」

というところを理解しないと、
本質を見誤ります。

例えば、

「私は月間走行距離150kmでサブ3達成できた」

↓ ↓ ↓ ↓ ↓

「だから、月間150km走ればサブ3は達成できる」

これは証明として成り立つ可能性は限りなく低い。

だって、サンプル数が1しかないし、
根拠があまりにも主観的だからです。

まあ、嘘ではないのかもしれません。
「月間走行距離150kmでもサブ3を達成できた」
という事実はきっと本当なのでしょう。

しかし、だからと言って、
それが世間一般に当てはまるかのように
言いふらすのは、
僕は間違っていると思います。

逆は真ならず

数学の証明問題では、
「逆は真ならず」
という言葉があります。

「AならばBである」

という命題があったときに、
その逆の

「BならばAである」

が成り立たない場合のことを
表現した言葉です。

で、我々が生きる現実世界では、
「逆は真ならず」
ということはめちゃくちゃ多い。

「月間走行距離150kmでサブ3達成できた」

でも、だからと言って
その逆の

「サブ3を達成するには、月間150km走ればいい」

が正しいという証明にはならないわけです。

だって、月間150km走っていても
サブ3できていない人は山ほどいるでしょう?

そういう全体的なデータに全く言及せず、
極めて限定的なデータだけを恣意的に切り取る。

そして、そのデータを都合よく使って
あたかもそれが真実であるかのように見せるのは、
詐欺行為に近いものがあると感じますが、
世の中はそんな情報で溢れています。

人を動かすには、良くも悪くも
「インパクト」が必要ですからね。

情報をねじ曲げてしまえば、
「インパクト」はいくらでも作れるし、
それで実際に大衆は動く。

これもある意味での
プロパガンダ(世論扇動)と言えますが、
これはもう何千年も前から
人類史を常に動かしているものなので、
今更消えてなくなることはないでしょう。

そんな中で大事なのは、
我々一人一人が情報の受け手として
「正しいリテラシー」を
身につけることだと思います。

情報を鵜呑みにすることは簡単ですが、
何も考えずに情報を与えられ続けていては、
いつの間にか誰かの都合の良いように使われてしまいます。

だからこそ、
「事実」と「解釈」の切り分けや
「前提・文脈」の理解をした上で、
目の前の情報を正しく摂取していきましょう。

1週間のトレーニング記録
– Weekly Training Log –

日付曜日時間帯練習内容練習結果走行距離
1/23AMOFF0 km
Mon.PMOFF0 km
1/24AMOFF0 km
Tue.PM6K Jog + 5×WS + 6K Jog on hill1h11m13 km
1/25AMOFF0 km
Wed.PM4×(1K float / 3K M) on XC[Laps]
#1. 4:24 / 11:31 (3:50/k)
#2. 4:12 / 11:19 (3:46/k)
#3. 4:17 / 11:11 (3:44/k)
#4. 4:18 / 10:59 (3:40/k)
[Total]
1:02:09 (Ave. 3:54/k)
25 km
1/26AMOFF0 km
Thu.PM4.5K Jog + 5×WS + 2.5K Jog on hill51m8 km
1/27AM12K Recovery Jog1h10m12 km
Fri.PMOFF0 km
1/28AM19K Jog1h45m19 km
Sat.PMOFF0 km
1/29AM【BRCオフライン練習会】
5km M + 2km LT + 3km M’ + 1km CV + 2km LT
*R=6分-5分-4分-3分
14 km
Sun.PMOFF0 km
週合計91 km
1週間のトレーニング記録 / Weekly Training Log

月 Mon.

AM

OFF

PM

■ Strength : 3set × 上半身A

OFF

火 Tue.

AM

OFF

PM

■ Strength : 3set × 下半身A

■ 6K Jog + 5×WS + 6K Jog on hill
 [Distance]13km
 [Duration]1h11m
 [Elev. Gain]350m

水 Wed.

AM

OFF

PM

■ Strength : 3set × 体幹A

■ Workout :
W-up Jog 4K + 5×WS

4×(1K float / 3K M) on XC

[Laps]
#1. 4:24 / 11:31 (3:50/k)
#2. 4:12 / 11:19 (3:46/k)
#3. 4:17 / 11:11 (3:44/k)
#4. 4:18 / 10:59 (3:40/k)
[Total]
1:02:09 (Ave. 3:54/k)

C-down Jog 4K

木 Thu.

AM

OFF

PM

■ Strength : 3set × 上半身A

■ 4.5K Jog + 5×WS + 2.5K Jog on hill
 [Distance]8km
 [Duration]51m
 [Elev. Gain]210m

金 Fri.

AM

■ Strength : 3set × 下半身A

■ 12K Recovery Jog
 [Distance]12km
 [Duration]1h10m

PM

OFF

土 Sat.

AM

■ 19K Jog
 [Distance]19km
 [Duration]1h45m

PM

OFF

日 Sun.

AM : BRCオフライン練習会 @横浜

■ BRCオフライン練習会 :
W-up Jog 1.5K

5km M + 2km LT + 3km M’ + 1km CV + 2km LT
*R=6分-5分-4分-3分

C-down Jog 1.5K

PM

OFF

1週間の振り返り

週間走行距離

1/23-1/29 : 91 km

■ 週間走行距離の推移 (2023年)
  • 1/2-1/8 : 89 km
  • 1/9-1/15 : 98 km
  • 1/16-1/22 : 105 km
  • 1/23-1/29 : 91km

手応えを感じた点、良かった点

今週は回復週。
つなぎ練習では走行距離を追い求めずに、回復を最優先にして走った。

その中でも、水曜の「4×(1K float / 3K M)」は、良い感覚で走れたし、Mペース=3:50/kくらいの感覚は掴めた。

日曜のオフライン練習会は、自分トレーニングではないが、程よいペースで断続的に走り回復週のポイント練習としてはちょうど良いくらい(仕事も忙しかったので)。

改善点、今後の課題

疲労の抜けが遅く、つなぎジョグで距離を踏めていないのがやや気がかりだが、時間の問題な気がしている。
トレーニングを継続していく中で、疲れにくい身体になっていくだろうと楽観的に捉えてじっくりやっていく。

来週末は、トレーニングとして参加予定の50kmがあるが、さほど調整をする感じではなく、走行距離を伸ばしていく流れの一環としてスムーズに消化できれば良いかなと。

総合評価

6/10段階中

今後の予定
– Schedule –

  • 2/5(日) 奄美よーりよーりラン (鹿児島) 50km
  • 4/16(日) 喜界島マラソン (鹿児島) 42.195km
  • 5/21(日) 八ヶ岳野辺山ウルトラマラソン (長野) 100km
  • 10/29(日) (仮)金沢マラソン (石川) 42.195km
  • 2024/2/17-21 (仮)鹿児島県下一周駅伝 (鹿児島)
  • 2024/3/3 (仮)鹿児島マラソン (鹿児島) 42.195km

お知らせ
– Information –

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※ メンバー募集は「毎月1〜3日」です。

ABOUT ME
上原 一真
上原 一真
ランニングコーチ / ぼっちランナーズクラブ【BRC】代表
株式会社SmilesMiles 代表取締役 1992年生まれ、鹿児島県出身。 2005年、中学時代より走り始めランニング歴は17年以上。 1500m~5000mなどのトラック競技から100kmを超えるウルトラマラソン, トレイルランニング, 駅伝など幅広く嗜む。フルマラソンの自己ベストは、2時間34分16秒 (2021年)。 2015年から市民ランナー向けにランニングの指導を始め、サブ4~サブ2時間40分まで様々なレベルの市民ランナーの自己ベスト達成をサポートしてきた。 現在は、オンラインランニングクラブ【ぼっちランナーズ / BRC】を主宰。 「ひとりで頑張るランナーに、もっと強くなるきっかけを与え、自己重要感が高まるランニングを楽しんでもらう」をテーマとして指導に力を入れている。
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