サブスリー攻略ロードマップ|トレーニング計画と練習メニューの作り方
こんにちは。
ぼっちランナーズ【BRC】代表の上原です。
今回は、サブスリーを攻略するためのロードマップです。前半は中長期的なトレーニング計画の立て方、後半はもう少し短期的な、練習メニューの具体的な立て方を解説します。
フルマラソンでサブスリーを達成するのは、完走者の約3%と言われています。決して簡単なものではありませんが、ちゃんとロジックのある練習を積み重ねていけば、決して不可能ではないと思っています。
独学でマラソンを勉強している方や、ランニング歴が浅くて一人で練習しているけれどサブスリーを目指している方に、基本的な考え方や、日々の練習メニューの組み立て方の参考になればと思います。
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全体の流れ
今回は、サブスリーを目指しているAさんという架空の人物をモデルに、デモンストレーション形式で解説します。
前半:中長期的なトレーニング計画
- 現状を把握する
- 目標を設定する
- 期分けを行う
- マイルストーンを設定する
後半:短期的な練習メニュー
- 自分が伸ばすべきランニングスキルを明確にする
- 1週間のルーティンを決める
- ポイント練習を設計する
- ポイント練習以外の練習(つなぎ練習)を設計する
全部通して読んでもいいですし、自分に必要なところだけ参考にしていただくのもいいと思います。
前提:サブスリーに必要なペース
サブスリーを達成するには、単純に、サブスリーのペースで42.195km走れないといけません。1kmあたり4分15秒弱、4分14秒台のペースです。
ただ、4分14秒ギリギリだとちょっと危ういんですよね。フルマラソンは何が起こるかわかりませんし、大規模な大会だとスタートラインを越えるまでに時間がかかったり、給水で時間を取られたりもします。
なので安全圏という考え方でいくと、1kmあたり4分10秒のペースで走れるようになっておきたいところです。今の自分が4分10秒ペースをどれくらいの余裕を持って走れるのか、常に頭に入れておくといいかなと思います。
前半|中長期的なトレーニング計画
STEP1 現状を把握する
Aさんの現在のフルマラソンのベストタイムは3時間13分。目標はサブスリーなので、現状と目標のギャップは十数分です。このギャップをどう埋めていくかを考えるのが、トレーニング計画を立てるということです。
スピードを高める必要があるのか、スピード持久力なのか、スタミナなのか。いろんな要素を整理して、ロジックを持ってトレーニング計画を立てていきます。
現状分析には、ダニエルズのVDOTを使います。VDOTは、単純に言うと走力のことです。フルマラソンをこれくらいで走れるなら5000mはこれくらい、というように、距離の違うレースでの目安がわかります。もう一つ、走力に応じたトレーニングペースも指標としてわかるので、とても便利です。
Aさんの現在のVDOTは49.3。これに対応するトレーニングペースは、おおよそこうなります(1kmあたり)。
- Eペース:5分42秒〜5分11秒
- Mペース:4分35秒
- Tペース:4分18秒
- Iペース:3分58秒
まずは、現状に合ったトレーニングペースで練習することから始めてみてください。サブスリーを目指しているからといって、いきなりサブスリーレベルの練習をする必要はありません。現状の力でできる練習をしっかりして、そこからステップアップする。目標レースの時までに、目標のレベルで走れるようになっていればいいんです。
STEP2 目標を設定する
目標はサブスリーですが、2時間59分台のようなギリギリを狙うと、本番で何が起こるかわからないので、もう少し安全圏の2時間56分くらいを目指してほしいなと思います。1kmあたりにすると、約4分10秒です。
2時間56分をVDOTで表すと、55になります。目標のVDOTに対応するトレーニングペースも確認しておきましょう。例えばIペースは1kmあたり3分37秒です。
目標レースまでの間に、目標VDOTに対応するペースで練習できるようになっていれば、サブスリーの可能性はかなり高いということになります。VDOTは、ネット上の無料の計算ツールで調べられます。
STEP3 期分けを行う
必須ではないと思いますが、マラソンはトレーニング期間が4か月など長くなるので、集中力やモチベーションを保つのが難しくなることもあります。期間を区切って、この時期は何をする、と分けていく方がいいんじゃないかなと思っています。
期分けは、言い方を変えると、どの時期に、自分のどのランニングスキルを伸ばすべきかを明確にしていく考え方です。社会人だと仕事や家の用事が入ったりして、計画通りに進むことはほとんどありませんが、それでも計画を立ててみることが大事だと思っています。
マラソン練習で伸ばすべきランニングスキルは、大きく3つだと考えています。
- 最大スピード(VO2maxに近い考え方)
- スピード持久力(そこそこ速いペースをどれだけ持続できるか。LT値に近い考え方)
- スタミナ(長時間走り続けられる力)
王道は、まず基礎を強化して、それから特異的なトレーニング、つまり42.195kmを速いペースで走るためのトレーニングに移行させていく流れです。
基礎にあたるのが、最大スピードとスタミナ。特異的なトレーニングにあたるのが、スピード持久力です。両極端の最大スピードとスタミナをまず鍛えて、レースが近づくにつれて、この2つを融合させていく。速いペースで長い時間走れる体をつくっていく感じです。
期分けのパターンを3つ挙げておきます。
- スタミナ → 最大スピード → スピード持久力:スタミナに自信がある方、長い距離を走るのが好きな方に
- 最大スピード → スタミナ → スピード持久力:スピードに自信がある方、短く速く走るのが好きな方に(いきなりスピードを上げるとケガのリスクも高まるので注意)
- スタミナと最大スピードを同時並行 → スピード持久力:トレーニング期間が十分に取れない方に
Aさんは、長い距離を走るのが好きだけれど、スピードに苦手意識があるスタミナ型のランナーです。なので、スタミナから鍛えていく期分けにしました。
- 1〜6週目:スタミナの強化期
- 7〜12週目:最大スピードの強化期
- 13〜16週目:スピード持久力の強化期
期分けにガチガチに縛られる必要はありませんが、この時期はこの練習に集中しよう、という意識を持っているだけで、集中力を維持しやすいと思います。
STEP4 マイルストーンを設定する
現状と目標の2つだけを意識していても、サブスリーまでの道のりはあまり鮮明にイメージできないと思います。なので、小目標(マイルストーン)を設定して、段階的にクリアしながら最終目標に向かっていきます。
Aさんの場合は、16週間(約4か月)の中で、1か月ごとにVDOTのマイルストーンを置いてみました。
- 現在:VDOT 49.3(フルマラソン3時間13分相当)
- 1か月後:VDOT 50.2(3時間10分相当)
- 2か月後:VDOT 51.8
- 3か月後:VDOT 53.5(3時間00分相当)
- 4か月後:VDOT 55(2時間56分相当)
VDOTだけだとわかりにくいと思うので、1000m×5本のインターバルに置き換えると、こんな感じです。
- 現在:4分00秒〜3分55秒
- 1か月後:3分55秒〜3分50秒
- 2か月後:3分50秒〜3分45秒
- 3か月後:3分45秒〜3分40秒
- 4か月後:3分40秒〜3分35秒
こういう段階を踏んで、4か月後に1000m×5本を3分40秒〜3分35秒くらいで走れるようになっていれば、サブスリーを目指す練習としてはいい調子かなという感じです。
計画には幅を持たせる
ただ、この時点であまりにも細かい計画を立ててしまうと、完璧主義に陥って、計画通りに走れない自分を責めてしまうこともあります。計画に幅を持たせることも大事です。
計画通りに進まないのは普通です。でも、計画を立てて実際に走ってみると、設定が速すぎた、遅すぎた、というのが見えてきます。このギャップを少しずつ修正していく。一旦計画を立てて、そこから修正することは、計画を立てることと同じくらい大事だと思っています。
後半|短期的な練習メニュー
後半は、1週間単位で練習メニューを考えていきます。一つ一つの練習に目的を持つこと、根拠のある練習メニューを作ることが大事です。
以前、サブ4を達成するための練習メニューの作り方もお話ししましたが、サブ4とサブスリーで練習メニューの作り方が大きく変わることはありません。人間が走力を上げる仕組みは、生理学的にはほとんど同じだからです。違うのは、走るペースや距離、つまり練習の量や質です。
STEP1 自分が伸ばすべきランニングスキルを明確にする
言い換えると、練習の目的を明確にするということです。前半でお話しした3つのランニングスキルのうち、どれを今回の練習で鍛えるのか。それを意識するかしないかで、すごく大きな違いになります。
- 最大スピード:1000m×5本、400m×15本など(1200m×5本、1600m×3本などもあります)
- スピード持久力:2000m(Tペース)×3本、6〜8kmまたは30分のTペース走など
- スタミナ:30kmペース走、2〜3時間のLSDなど
どこかで聞いたことのある練習だと思いますが、その練習でどのランニングスキルを伸ばすのか、という意識を持つか持たないかで、だいぶ練習の効果が変わってきます。
STEP2 1週間のルーティンを決める
ルーティンを決めるかどうかは人それぞれですが、メリットは、その日の感情に流されにくくなることです。この日はこれをする、と事前に決めておくだけで、練習をサボることが減ってくると思います。
ガチガチに練習内容まで固める必要はありません。伝えたいのは、強度が高い練習と強度が低い練習のメリハリを、1週間の中でちゃんとつけましょう、ということです。強度が高い練習はポイント練習、それ以外はつなぎ練習です。
走力を上げるのは、ポイント練習の時だけで十分です。ポイント練習では、3つのランニングスキルのいずれかをしっかり強化する意識を持つ。逆に、つなぎ練習や休養日は強化までしなくていいので、コンディションを整えることと、走力を維持することが目的です。
毎回強度の高い練習をするとケガもしますし、そもそも人間の体はそんなに強い負荷に耐えられないと思います。メリハリをつけることが大事です。
Aさんの1週間のルーティンは、こんな感じにしてみました。
- 月曜日:休養日(アクティブレスト)
- 火曜日:つなぎ練習(ジョグ)
- 水曜日:ポイント練習(最大スピードまたはスピード持久力)
- 木曜日:つなぎ練習(ジョグ)
- 金曜日:休養日またはジョグ
- 土曜日:つなぎ練習(ジョグ)
- 日曜日:ポイント練習(長い距離を走ってスタミナを鍛える)
僕のオススメは、ポイント練習は週2回、多くて3回です。強度の高い練習は何回もできるものではないですし、ケガのリスクも高まります。週2回のうち1回は週の真ん中、もう1回は週末が、一番取り組みやすいかなと思います。
仕事やライフスタイルによって、ルーティンは変わってきます。アレンジ例としては、こんなものがあります。
- 週末に2日連続でポイント練習をする
- ポイント練習を週1回に絞り、その代わりつなぎ練習の質を高める(ジョグのペースを上げる、ラスト1kmをしっかり上げる、ジョグの後にウインドスプリントを入れるなど)
- ポイント練習を週3回に増やす。ただし全部を全力にはせず、1回は少し強度を下げた「準ポイント練習」にする
自分のライフスタイルに合わせて、どんなやり方がいいのかを模索し続けることが大事かなと思います。
ルーティンを決めたら、なるべく感情に流されずに、粛々と練習を継続していく。定期的な見直しも必要ですが、ルーティンをちゃんとこなせる人は強いなと思います。マラソンは継続のスポーツなので。ただ、あまりにも完璧主義に偏りすぎるといろんな弊害もあるので、そこはバランス感覚が必要です。
STEP3 ポイント練習を設計する
ポイント練習では、今日の練習で自分のどのランニングスキルを伸ばすのか、という意識を持って取り組みましょう。Aさんの、ある1週間のポイント練習を見てみます。
水曜日は、1000m×5本のインターバル。目的は最大スピード(VO2max)の強化です。ダニエルズ理論のIペースで走ります。IペースはVO2maxを強化するのに最適なペースと言われています。
Aさんの現在のIペースは3分58秒、目標VDOTのIペースは3分37秒なので、その間をとって、ここでは3分45秒に設定しています。
日曜日は、水曜日にスピードの練習をしているので、スタミナを鍛えます。3時間のLSDで、長い時間体を動かす練習です。
別の週のポイント練習も見てみましょう。水曜日は、8kmのTペース走。目的はスピード持久力(LT値)の強化です。TペースはLT値を強化するのに最適なペースと言われています。
Aさんの現在のTペースは4分18秒。目標VDOTのTペースとの間をとって、ここでは1kmあたり4分00秒に設定しています。自分が今どの位置にいるのかをちゃんと把握して設定ペースを決めることが重要なので、細かい調整は個人個人で行ってください。
日曜日は、30kmのペース走。目的はスタミナの強化です。設定ペースは、目標のMペース(4分10秒)に20秒足した、4分30秒にしています。
目標のレースペースで30km走るのは、かなり難易度の高い練習です。速すぎるペースを設定してこなせずにバテてしまうよりも、ある程度余裕を持った設定ペースで、実際に余裕があるかを確認しながら、しっかり走り切ることが大事かなと思います。ギリギリを攻める30km走も有効ではありますが、普段の練習では、少し余裕を持った設定がおすすめです。
STEP4 つなぎ練習を設計する
つなぎ練習の目的は、体力レベルの維持とコンディション調整です。基本的にはジョグだと考えてもらうとわかりやすいと思います。
厳密にどれくらいの距離、どれくらいのペースで走りましょう、という指標があるわけではありません。一番大事なのは、自分の体と相談すること。今どれくらい疲労が溜まっているのか、次のポイント練習に向けていいコンディションを維持するには、今日はどれくらいにしておいた方がいいのか。感覚的な話になりますが、距離やペースを細かく調整しながら走る必要があります。
目安としては、前の週のポイント練習で走れていた時と同じくらいの体力レベルを維持する意識でいいと思います。つなぎのジョグだからといって走らなさすぎると体力が落ちますし、走りすぎると疲労が溜まって次のポイント練習でうまく走れません。この匙加減は、ランニング歴が長い人でも迷うところです。絶対的な正解はないので、常に自分の体と相談することが大事です。
1kmあたり何分という具体的なペースがあった方がやりやすい方は、ダニエルズのEペースを目安にしてください。Aさんの現在のVDOT 49.3に対応するEペースは、1kmあたり5分42秒〜5分11秒です。目標VDOTのEペースも、同じように計算ツールで確認できます。ただ、最終的には自分の体と相談して、感覚的なところも大事にしてほしいなと思います。
最後に
今回は、この練習をすればサブスリーできます、という短絡的なことを言いたいのではありません。お腹が空いている人に魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教える。そういうことを意識して、練習の作り方という、もう少し本質的なところをお伝えしたつもりです。
独学でマラソンを勉強している方、一人で頑張っていて、どういう手順で練習を組み立てていけばいいのかわからない方の参考に、少しでもなればうれしいです。
ランナー診断のご案内
BRCでは、ランナー診断というものを用意しています。
あなたの現状、目標、タイプに応じて、自分に合ったトレーニングメニューが見つかるヒントになると思うので、暇つぶしがてら、ぜひやってみてください。
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それでは。
ぼっちランナーズ【BRC】
代表 上原一真
